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ガソリンが上がり始めた!次は荷物が届かなくなる|2026年イラン空爆!今後の物流崩壊シナリオ

備蓄

前の記事を読んでくれた人へ。あの時「シナリオ」として書いたことが、現実になってきた。

2週間前、「こうなるかもしれない」と書いた。ホルムズ海峡が封鎖され、原油が$100を超え、日本のガソリンが上がり始めた。予測が予測でなくなった今、次に来るのは「値上がり」ではなく「届かない」だ。

2026年2月28日の米・イスラエルによるイラン空爆から約2週間。原油は一時1バレル$119を超え、ホルムズ海峡の通過船舶は1日120隻から5隻へと激減、政府はIEAと協調して国家備蓄の放出を決めた。しかし備蓄放出では価格上昇を止められていない。この記事では「すでに起きていること」と「次に来ること」を整理する。前の記事が気になった人は先に読んでほしい。

そして、もう一つ知っておいてほしいことがある。今ガソリン価格が上がっているのは、単純に「原油が上がったから」だけではない。業者が先を見越して上げているからでもある。燃料費高騰は、石油元売りや卸売業者にとって「値上げの千載一遇のチャンス」でもある。「今の原油高が理由」という説明がつくから、便乗値上げをしても咎めにくい。ENEOSは3月12日から系列への卸売価格を約26円引き上げると通知した。現場が先に動く。それが「今の値上がり」の正体の一端だ。

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まず「今何が起きているか」を数字で確認する

「ガソリンが上がっている気がする」ではなく、数字で事実を把握するところから始めよう。

指標 空爆前(2月末) 現在(3月中旬) 変化
Brent原油($/バレル) 約$72.80 約$92
(一時$119まで上昇)
+約26%
日本ガソリン価格(円/L) 約155円 161.8円(3/9時点)
※3/18以降180円超見込み
+6〜25円
ホルムズ通過船舶数(日) 約120隻(平常時) 約5隻(3/6時点) ▲96%
IEA備蓄放出 (なし) 4億バレル協調放出決定(3/11) 実施済み

出典:Trading Economics|Brent Crude Oil、資源エネルギー庁 ガソリン全国平均価格推移(3/9時点)、東洋経済オンライン「ホルムズ海峡1日120隻が5隻へ激減」、Yahoo!ニュース|IEA加盟国32カ国が石油備蓄放出合意

平常時に1日120隻の船が通っていたホルムズ海峡が、現在5隻。それだけで、世界の原油供給の約5分の1が止まっている。「原油が上がった」という言葉では足りない。供給そのものが崩れている。

日本の原油輸入の約94%は中東からで、そのタンカーの8割がホルムズ海峡を通る。日本郵船・商船三井・川崎汽船の邦船3社はすでに通航を停止している。「海峡が危ない」ではなく「海峡が使えなくなった」が現実だ。

出典:Bloomberg「ホルムズ海峡を船舶回避、日本郵船も指示」、Bloomberg「日本のインフレ加速の恐れ、ホルムズ海峡が事実上封鎖」

なぜ今すでに値上がっているのか:
石油元売りは「原油が上がった分」だけでなく、「これからも上がり続ける」という予測を先取りして価格に反映させる。燃料費高騰は、値上げの理由づけができる絶好のタイミングでもある。ENEOSは3月12日から系列への卸売価格を約26円引き上げた。現場では価格高騰はすでに「今」だ。

国家備蓄放出は「応急処置」にすぎない

3月11日、IEA加盟32カ国は4億バレルの石油備蓄を協調放出することで全会一致で合意した。IEA設立以来6回目の備蓄放出であり、2022年のウクライナ侵攻時(1億8,000万バレル)の約2倍という過去最大規模だ。

日本も3月16日に単独で先行放出を開始する。民間備蓄15日分と国家備蓄1カ月分、合計約8,000万バレル。2022年時の放出量(2,250万バレル)を大きく上回る。

しかし、これは「問題を解決する」ものではない。

MUFGのアナリストによると、今回の備蓄放出はホルムズ海峡封鎖による供給不足の「2〜3週間分を相殺する程度」にとどまる。IEAのビロル事務局長自身が「前例のない規模の課題に直面している」と述べているように、備蓄放出はあくまで「時間を稼ぐ」手段だ。封鎖が続く限り、焼け石に水だ。

出典:日本経済新聞「IEA、石油備蓄の協調放出で全加盟国が合意 過去最大の4億バレル」、Bloomberg「IEA加盟国、過去最大の石油備蓄放出で合意」、Bloomberg「日本政府、16日にも単独で石油備蓄放出へ」

備蓄放出の現実:4億バレルという数字は大きく聞こえる。しかし世界の石油需要は1日約1億バレル。4億バレルは「4日分」にしかならない。ホルムズ海峡の封鎖が解除されない限り、放出は時間を稼ぐだけだ。

前の記事で「シナリオB(価格が上がり続け、日本の家計に直撃するシナリオ)が現実化する」と書いた。今がそのシナリオBの進行中だ。

「国が守ってくれる」と思っていた人へ──後手後手の記録と、ある比較表

ここで書くのは「政府批判」ではない。「組織として動くには時間がかかる」という、歴史的な事実の確認だ。

過去の「後手後手」実例

事例 政府の対応 結果
阪神淡路大震災(1995年) 自衛隊派遣を知事要請まで待った。初動72時間遅れ 6,434人死亡。「なぜ早く来ない」と怒りの声
東日本大震災(2011年) 原発情報の後出し・避難指示の遅れ 「ただちに影響はない」が国民の不信を招く
令和のコメ騒動(2024年) 「在庫はある」と言い続け備蓄米放出を渋った 放出決定時には東京都区部で前年比1.7倍
石油備蓄放出(2026年) IEA協調放出を決定 原油は$92超のまま(3月13日時点)

悪い人たちではない。ただ、組織として動くには時間がかかる。その「数週間のギャップ」で困るのは自分だ。

能登半島地震と、同時期のウクライナ支援(2024年)

時期 🇯🇵 能登の被災者(国内) 🇺🇦 ウクライナへの支援(同時期)
2024年1月1日 震度7。死者・行方不明多数。道路寸断、孤立集落多数
発災5日後(1月5日) 緊急予備費:47億円を閣議決定 前月(12月)にウクライナへ45億ドル(約7兆円)支援を約束済み
発災4日後(1月4日) 岸田首相、BSフジに生出演。笑顔で総裁選の展望を語る
発災約7週後(2月19日) 仮設住宅は必要数の半数以下。数千人が学校等で避難継続 東京で日・ウクライナ経済復興推進会議を開催。首脳レベルで官民支援を推進
発災4ヶ月後(4月末) 4,606人がまだ学校・ホテルで避難生活。仮設は1割以上未着工(日経新聞 2024/5/1) ウクライナ支援累計:この時点で約1兆5,000億円以上拠出済み
発災半年後(6月) 2,000人以上がまだ避難所生活(日本財団 2024/6) 日・ウクライナ支援協力アコード締結。支援総額121億ドル(約1兆9,000億円)を外務省公式文書に明記
発災10ヶ月後(10月) 9月の奥能登豪雨が追い打ち。復興途上のまま再被災 G7凍結資産活用で追加融資。日本分担:4,719億円(日経新聞 2024/10/28)
発災約12ヶ月後(12月23日) ようやく仮設住宅6,882戸すべて完成(石川県公式)
発災1年後(12月末) 輪島市内にまだ11カ所の避難所が開設。市立小学校に避難者が残る ウクライナ支援累計:約1兆9,000億円(外務省公式)

※ウクライナ支援の大半は融資・債務保証であり、純粋な贈与とは性質が異なる。ただし、「動くスピード」と「初動の規模の差」は公式記録の事実である。

「あなたは、この表を見てもまだ国が守ってくれると思いますか?」

繰り返すが、これは批判ではない。政府が悪意を持って能登を見捨てたとは思わない。組織として動くには時間がかかる。それは理解できる。

ただ、事実は事実だ。

発災5日後の緊急支援:47億円。
前月にウクライナへ約束した支援:45億ドル。
4ヶ月後も4,600人が学校で寝ていた。
仮設住宅がすべて完成したのは、1年後だった。

「あなたが被災したとき、政府の支援が届くまで、何ヶ月待てますか?」

備蓄は「政府への不満」ではない。
国が動き出すまでの数週間を、自分の力でしのぐための「自分への投資」だ。

ガソリンが上がると何が起きるか──「食料は存在する」だけでは意味がない

ここが今回の記事の核心だ。

農地に米があっても、運ぶ人がいなければ店に並ばない。漁港に魚があっても、冷凍トラックが止まれば腐る。工場でトイレットペーパーが作られていても、配送が崩れれば棚は空のまま。「生産できる」は「手に入る」とイコールではない。

2020年のトイレットペーパー騒動は「在庫はある、落ち着け」で解決した。あれはデマが原因だったから、政府の発言が効いた。しかし今回は違う。「在庫があっても運ぶ人がいない」という構造問題だ。政府が「在庫はある」と言っても、意味をなさない局面が来る可能性がある。

燃料高騰が「食料が届かない」になるまでの連鎖:

原油高騰

ガソリン・軽油・重油の価格上昇(すでに起きている)

【農業】トラクター・農業機械の燃料費増 → 生産コスト上昇・出荷抑制
【漁業】漁船の燃料代が経営を直撃 → 出漁回数減 → 水産物が減る
【長距離輸送】大型トラック・冷凍車の軽油代増 → 幹線物流コスト増
【ラストワンマイル】軽貨物フリーランスが採算割れ → 廃業・撤退

生産はされていても、運ぶ人・手段が消えていく

スーパーへの補充頻度が落ちる → 棚が埋まらない

「在庫はある」のに「手に入らない」という事態

輸送業態別の燃料高騰インパクト

業態 燃料 脆弱性 影響が出る時期
軽貨物フリーランス ガソリン(全額自己負担) ★★★ 廃業直結 即時〜1ヶ月
漁船(沿岸漁業) 重油(漁労費の30〜40%) ★★★ 出漁断念 即時〜1ヶ月
農業機械 軽油・灯油 ★★ 作付け・収穫コスト増 次の作付け期
中型・大型トラック 軽油 ★★ コスト増だが運賃転嫁しやすい 2〜3ヶ月
冷凍・冷蔵トラック 軽油+電力 ★★★ ダブルコスト増 1〜2ヶ月

「届かなくなる」は過疎地・産地から始まる

燃料費高騰でまず削られるのは「採算が合わないルート」だ。

過疎地・郊外・山間部は走行距離が長く燃料消費が大きい。採算ラインを超えれば、業者は真っ先にそのルートを切る。都市部でも夜間・翌日配達・再配達という「非効率枠」から順に削られていく。

農協ルートも同じ構造だ。農家から集荷するトラックが動かなければ、収穫した米・野菜は農地や倉庫に留まる。漁港から鮮魚市場への冷凍便が減れば、水揚げされた魚が都市に届かない。「産地に在庫はある」のに「消費者の手元には来ない」状態が起きる。

品目 産地での状況 届かなくなる経路
農地・農協倉庫に在庫あり 集荷トラック・精米所への輸送コスト増
野菜・果物 畑で収穫済み 産地→市場への冷蔵便コスト増・廃棄リスク
鮮魚 漁港に水揚げあり 冷凍トラック燃料費増→便数減→鮮度劣化
牛乳・乳製品 酪農家が生産中 集乳車の燃料費増→集乳頻度減
冷凍食品 工場在庫あり 冷凍庫維持電力+配送燃料のダブル高騰

「在庫はある」は嘘じゃない。でも届かない──令和のコメ騒動が証明した

日本はすでに「在庫はあるのに届かない」を経験している。2024〜2025年の「令和のコメ騒動」だ。

米の民間在庫の適正量は約200万トンとされている。2024年6月末は153万トンまで下がっていたが、農協の倉庫には米が存在していた。政府は「在庫はある」と繰り返した。それでも東京都区部の米価格は前年比1.7倍まで跳ね上がった。備蓄米21万トンを放出しても価格は下がらなかった。

在庫があっても、流通経路で「詰まり」が起きれば消費者には届かない。政府が「在庫はある」と言う言葉の意味が、2024年に変わった。

出典:三菱総合研究所「令和のコメ騒動」コラム(2025年)、帝国データバンク「食品主要195社 価格改定動向調査」

3つのパニックを比べてみる

比較 2020年
トイレットペーパー
2024年
コメ騒動
2026年
想定シナリオ
在庫の実態 十分あった(デマ) あったが流通が詰まった あっても輸送できない
政府の「在庫はある」 正しく、効果があった 正しいが効果がなかった 正しいが意味をなさない
収束した理由 パニックが冷めれば解消 価格高止まりのまま長期化 紛争が続く限り構造的に続く
段階 2024年コメ騒動の現実 2026年物流崩壊シナリオ
生産段階 農地に米はあった 農地・倉庫に食料はある
流通段階 集荷業者が在庫を抱えて動かなかった 輸送業者が廃業・撤退で動けない
小売段階 棚は空・価格は1.7倍 棚が空・値段があっても買えない
政府対応 備蓄放出→効果なし 備蓄放出→根本解決にならない
原因の性質 流通の詰まり(一時的) 輸送インフラの崩壊(構造的)

2020年型は「デマさえ収まれば終わる」。2024年型は「流通が正常化すれば終わる」。2026年型は「紛争が終わらなければ終わらない」。事態の深刻さが段違いだ。

玄米を今備蓄すべき理由:
玄米は適切に保存すれば常温で1〜2年、真空・低温なら3〜5年持つ。精米後の白米より長持ちで虫が湧きにくい。現在(2026年3月)は令和7年産が出回り始め潤沢な時期。物流が止まってから買いに行っても遅い。棚に並ぶ前に詰まる。

食料品への波及──原油高は「価格」だけでなく「供給量」も削る

日本の食料自給率はカロリーベースで38%(農林水産省 令和6年度発表)。4年連続で横ばいだ。食べているものの約6割は輸入に依存している。小麦・大豆・とうもろこし等の主要穀物はほぼ全量輸入に頼っており、輸送コストの上昇は直接食品価格に跳ね返る。

出典:農林水産省「令和6年度食料自給率」(2025年10月10日発表)

2026年3月時点で、食品主要195社による価格改定は合計684品目(帝国データバンク調べ)。加工食品・飲料・調味料が中心で、輸送コスト由来の値上げが依然として61.8%を占める。野菜・肉全般でも約1.8%の価格上昇が予測されているが、これは「現時点の原油価格」での試算だ。3月18日以降に180円超が見込まれるガソリン価格が食品に反映されるのは、まだこれからだ。

出典:帝国データバンク「食品主要195社 価格改定動向調査 2026年3月」、野村総合研究所「生活に忍び寄る原油価格上昇による物価高」(2026年3月6日)

原油高が食品に波及する3つの経路

経路 具体的な影響 タイムラグ
① 輸送コスト トラック・船の燃料費 → 食品全般値上がり 1〜3ヶ月
② 包装資材 プラスチックトレー・ラップ・袋の原料高騰 1〜3ヶ月
③ 肥料・飼料 化学肥料の原料(天然ガス)価格上昇 → 農産物・畜産物 3〜6ヶ月

封鎖が数ヶ月続いたら──専門家が試算する「最悪のシナリオ」

ここまでは「値上がり」と「届かなくなる」というシナリオを書いてきた。しかし、封鎖が長期化した場合の最悪のシナリオにも触れておく必要がある。

日本のエネルギー・食料供給の構造的脆弱性を研究してきた専門家の中には、シーレーンが完全封鎖されて半年以上続いた場合、日本国内で深刻な食料・燃料不足が生じ、数千万人規模の生存に影響が及ぶという試算を示している研究者もいる。カロリーベース自給率38%の国が、輸入の6割以上を断たれた場合どうなるか。これは夢物語でも陰謀論でもなく、食料安全保障の基礎的な計算の話だ。

「さすがに数ヶ月は続かないだろう」という楽観は、1973年のオイルショック時も、2022年のウクライナ侵攻時も、みな思っていたことだ。しかし紛争は当事者が決める。日本には止める手段がない。

数ヶ月で止まらなかったら:
ガソリン価格の上昇 → 輸送業者の廃業・撤退 → ラストワンマイルの崩壊 → スーパーの棚が空になる。このシナリオが現実になる前に、今できることをやっておく。それだけだ。

では実際に何を備えるべきか

「備えよ」と言うのは簡単だ。何を、どのくらい、どんな順番で? 優先度をつけて示す。

優先 品目 理由 タイミング
★★★ ガソリン満タン維持 輸送コスト直撃・真っ先に上がる 今すぐ
★★★ 灯油(1〜2缶) 冬前に価格高騰。今なら比較的安い 今すぐ
★★★ 主食のローリングストック(米・乾麺) 輸送途絶リスク・価格上昇 今月中
★★ 缶詰・レトルト(1〜2ヶ月分) 長期化シナリオに対応 今月中
★★ 日用品(トイレットペーパー以外も) 石油由来製品の値上がり 今月中
現金(2〜3万円) 物流・金融インフラ障害 余裕があれば

まとめ──「届かなくなる前に動く」ことが唯一の答え

【2026年3月時点のまとめ】
・原油はBrent換算で$92超(一時$119まで上昇。3月13日時点)
・日本のガソリン価格は161.8円/L(3/9時点)。3/18以降180円超見込み
・IEA史上最大4億バレルの協調放出を決定。だが価格上昇を止められていない
・業者は先を見越して価格を上げている。3/12からENEOS卸値を約26円引き上げ
・次に来るのは「値上がり」ではなく「届かない」リスク
・封鎖が長期化すれば、日本の食料・物流インフラは構造的に崩壊する可能性がある
・動くなら今。棚が空になってからでは遅い

前の記事を書いた時、「こうなるかもしれない」と思って書いた。2週間経って、予測が予測でなくなってきた。歴史は繰り返すと言うが、止められる繰り返しと止められない繰り返しがある。備えることは、後者を前者に変える唯一の方法だと思う。


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