停電が1週間続いたら、スマホの充電もご飯を炊くのもどうする?
結論から言うと、ベランダにソーラーパネルを置いてバッテリーに蓄電すれば、停電中でもスマホ充電やLED照明、12V炊飯器でご飯を炊くことまでできる。
しかもポータブル電源を買わなくてもいい。私は2019年にDIYでソーラー発電システムを組んだ。総額約10万円。7年経った今もメンテナンスなしで現役。バッテリー電圧は満充電の12.6Vを維持している。この記事では、その7年間の実績をベースに、団地ベランダでのソーラー発電の現実と、初めてやるなら何を選べばいいかを解説する。
大地震の停電は何日続くのか
「電気はライフラインの中で最も復旧が早い」とよく言われる。実際、水道やガスに比べれば電力の復旧は早い。しかし「早い」といっても数日から1週間はかかる。南海トラフ級の地震が起きれば、1週間どころでは済まない地域もある。
過去の大規模災害で、実際にどれくらいの停電が発生し、復旧にどれだけかかったのかをまとめた。
| 災害名 | 停電戸数 | 復旧までの期間 |
|---|---|---|
| 阪神・淡路大震災(1995年) | 約260万戸 | 応急送電完了まで6日 |
| 東日本大震災(2011年) | 約466万戸(東北電力管内) | 80%復旧に3日、94%復旧に8日 |
| 北海道胆振東部地震(2018年) | 約295万戸(全道ブラックアウト) | 99%復旧に約2日、完全復旧に約1ヶ月 |
| 台風15号(2019年・千葉) | 約93万戸 | 99%復旧に約12日、完全復旧に約3週間 |
| 南海トラフ地震(想定) | 最大約2,710万戸 | 90%復旧に約8日、四国で約3週間、九州で約5週間 |
出典:関西電力「阪神・淡路大震災~応急送電までの7Days」、内閣府「東日本大震災 被害に関するデータ等」、資源エネルギー庁「日本初の”ブラックアウト”」、経済産業省「台風15号に伴う停電復旧プロセス等に係る検証について」、内閣府「南海トラフ巨大地震の被害想定」
北海道胆振東部地震では日本初のブラックアウト(全道停電)が発生し、約295万戸が一斉に電気を失った。2019年の台風15号では千葉県を中心に約93万戸が停電し、記録的な暴風による電柱の倒壊で完全復旧まで3週間を要した。
南海トラフ地震が発生した場合の想定はさらに深刻で、停電は最大約2,710万戸に達する。90%の復旧に約8日、四国では約3週間、九州では約5週間かかる可能性がある。「電気は早い」と言われても、南海トラフ級では1週間以上の停電を覚悟しなければならない。
停電で失うもの ― 情報・食料保存・衛生
停電が起きると、当たり前に使っていたものが一気に使えなくなる。
スマホの充電ができない。これが最も怖い。避難指示、家族の安否確認、給水情報――すべてスマホ経由で届く時代だ。スマホが死んだら情報が遮断される。一人暮らしなら、助けを呼ぶ手段そのものを失うことになる。
冷蔵庫が止まる。夏場なら数時間で食品が傷み始める。せっかく備蓄した食材も、冷蔵前提のものは全滅する。
照明がなくなる。夜間の生活が困難になる。懐中電灯やLEDランタンがあっても、電池はいつか切れる。
冷暖房が使えない。真夏なら熱中症、真冬なら低体温症のリスクが一気に上がる。特に高齢者や体力に自信がない人にとっては命に関わる問題だ。
一人暮らしの怖さは、これらの問題が全て「自分一人で対処しなければならない」ということ。家族がいれば役割分担ができるが、一人だと充電が切れたスマホを前に途方に暮れるしかない。だからこそ、自分で電気を作れる手段を持っておく意味がある。
私は2019年にDIYでベランダソーラーを組んだ ― そして7年経った今も現役
※筆者のベランダに設置した100W×2枚のソーラーパネル(2019年〜)
2019年1月、私はベランダにDIYでソーラー発電システムを組んだ。動機は単純で、「停電したときに自分で電気を作りたかった」からだ。ポータブル電源は当時から15〜20万円するものが多く、正直高いと感じた。調べているうちに、部品を自分で選んで組めば半額以下でできることが分かった。
電気の知識はほぼゼロからのスタートだった。チャージコントローラーの選定で失敗して買い直したり、配線の太さで悩んだり、試行錯誤は多かった。それでも半日ほどの作業で基本システムは完成した。
私のシステム構成
最終的に落ち着いた構成は以下の通り。
ソーラーパネル:100W × 2枚(並列接続)。合計200W。ベランダの手すりに立てかけて使っている。並列接続にしたのは、1枚が影になっても残りの1枚で発電できるようにするためだ。
チャージコントローラー:電菱 SA-BA20。PWM方式、12V/20A対応。最初は安い中華製を使っていたが、電圧制御が不安定だったので電菱に変更した。産業用機器メーカーの電菱は、自衛隊や警察でも採用されている信頼性がある。
バッテリー:ACDelco Voyager M27MF。ディープサイクルバッテリー、12V/約105Ah。容量は約1,260Wh。元々はマリン用途(船舶のエレキモーター等)向けに設計されたもので、繰り返しの充放電に強い。
インバーター:電菱 SK350-112。正弦波、定格350W/サージ700W。家庭用コンセントと同じきれいな波形の電気を出力できる。リモートポートが付いていて、別室からON/OFFが可能。これも電菱の信頼性で選んだ。
その他:ブレーカー、電圧計、配線(VCT 3.5SQ/5.5SQ)、バッテリーボックス。
7年間の実績
※2026年2月撮影。7年間メンテナンスなしで12.6V(満充電)を維持
2026年2月現在、このシステムは7年間メンテナンスなしで現役だ。
バッテリーの電圧計を確認すると12.6V。これはディープサイクルバッテリーの満充電を示す電圧だ。M27MFはメンテナンスフリー構造なので補水も一度も行っていない。カタログ上の寿命は3〜5年と言われているが、7年経っても満充電を維持している。
長寿命の理由として考えられるのは、ソーラー発電の充放電サイクルが「浅い」ことだ。日中に少しずつ充電し、使う量もスマホ充電やLED照明程度。バッテリーを深くまで放電させることがほとんどなかった。ディープサイクルバッテリーは深放電に耐えられる設計だが、実際には浅い充放電を繰り返すほうがバッテリーに優しく、結果として寿命が延びたのだろう。
電気代の節約にも一役買っている。昼間のネット利用(ルーターやノートPC)をソーラー発電でまかなう運用を続けた結果、暖房の節約と合わせて9ヶ月で3万円以上の電気代を節約できた。これは当時の記録に基づく数字だ。
| 私のDIYソーラー発電システム(2019年〜現役) ・ソーラーパネル100W × 2枚(並列) ・チャージコントローラー:電菱 SA-BA20 ・バッテリー:ACDelco M27MF(12V/105Ah) ・インバーター:電菱 SK350-112(正弦波350W) ・2026年2月現在、バッテリー電圧12.6V(満充電)を確認 ・補水などのメンテナンスは7年間一度も行っていない |
7年前のバッテリーで12V炊飯器は使えるか ― 実験結果
※7年目のバッテリーで実際にご飯を炊いた
「ソーラーで蓄電できるのは分かった。でも実際に何ができるの?」という疑問に対する答えがこれだ。7年目のバッテリーから12V炊飯器に直結して、本当にご飯が炊けるかテストした。
実験の前提
バッテリー:ACDelco M27MF(7年目、12.6V確認済み)。船舶用マリンバッテリーで、容量は約1,260Wh(12V × 105Ah)。
12V炊飯器:メルテック LS-11(DC12V / 8.5A / 100W / 最大2合炊き / 約4,000円)。バッテリー直結で使用し、インバーター不要。AC変換のロスがない。船舶用バッテリー × 車載用炊飯器 = DC12V同士で相性が良い。2合を約1時間で炊飯し、消費電力は約100Wh(8.5A × 1h)。
実験結果
※炊飯前後のバッテリー電圧の変化
(※テスト完了後に以下を更新予定)
・炊飯前の電圧:○○V
・炊飯中の動作:正常/異常
・炊飯後の電圧:○○V
・炊飯結果:成功/失敗
・感想:(テスト後に記載)
計算上の余力
バッテリー容量約1,260Whに対して、炊飯1回(2合)の消費電力は約100Wh。これはバッテリー全容量の約8%だ。消費電流8.5Aに対してバッテリー容量は105Ah。理論上は10回以上炊飯できる計算になる。
12V炊飯器の大きなメリットは、インバーターを通さずにバッテリーから直結で使えること。AC100Vに変換する際のロス(通常10〜15%)がゼロなので、バッテリーへの負荷が少ない。そもそも船舶用バッテリーは大電流放電に強い設計なので、12V家電との相性が良い。
つまり「安いソーラーパネルでも、蓄電さえできればご飯が炊ける」。これが7年間の運用を経た私の結論だ。
ポータブル電源 vs DIY ― 本音のコスト比較
「ソーラー発電に興味はあるけど、ポータブル電源のほうが手軽じゃない?」という声は多い。確かにその通りだ。でもコストの差は無視できない。
| 項目 | ポータブル電源セット | DIYルート |
|---|---|---|
| 電源/バッテリー | 本体に内蔵 | ディープサイクルバッテリー 1〜2万円 ※LiFePO4なら2〜3万円 |
| ソーラーパネル | セット込み | 100W×1〜2枚 1〜2万円 |
| インバーター | 内蔵 | 電菱 SK350-112 約2万円 |
| コントローラー | 内蔵 | 電菱 SA-BA20 約5,000円 |
| 配線・小物 | 不要 | 約5,000円 |
| 合計 | 約8〜15万円 | 約5〜8万円 |
| 工作の手間 | ゼロ(買ってつなぐだけ) | 配線作業あり(半日〜1日) |
| 部品交換 | 本体ごと買い替え | バッテリーだけ交換可能 |
| 12V炊飯器 | DC出力ポートから使用 | バッテリー直結(ロスなし) |
DIYのメリット・デメリット
メリット:コストが半額以下。部品単位で交換できるのでバッテリーが劣化しても本体ごと買い替える必要がない。12V機器をバッテリーに直結できるので変換ロスがゼロ。仕組みを理解しているので、故障しても自分で原因を特定して対応できる。
デメリット:電気の基礎知識が必要。鉛バッテリーは重い(M27MFで約21kg)。見た目はスッキリしない。配線を間違えるとショートや火災のリスクがある。
ポータブル電源のメリット・デメリット
メリット:買ってつなぐだけで使える。コンパクトで持ち出しやすい。メーカー保証・サポートがある。見た目もスマート。
デメリット:高い。バッテリーが劣化したら本体ごと買い替えになることが多い。内部の仕組みが分からないので、故障時に自分で対応できない。
結論は「どっちが正解」ではなく「自分に合う方を選べ」だ。工作が好きで少しでも安く済ませたいならDIY。手間をかけずにすぐ使いたいならポータブル電源。どちらを選んでも、「停電時に自分で電気を作れる」という安心感は同じだ。
今から始めるならこの2ルート
ルート① DIY派 ― 私と同じ構成で組む場合
私が2019年に使ったACDelco M27MFの後継モデルACDelco M27MFKBは、2026年2月現在もまだ購入可能だ。楽天やAmazonで1.5〜2万円程度で手に入る。
ただし、今から新しく組むならLiFePO4(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリーを強くおすすめする。12V 100Ahのモデルが2〜3万円で買える時代になった。鉛バッテリーと比べてメリットが圧倒的だ。
まず重さが違う。鉛バッテリーのM27MFは約21kgあるが、LiFePO4なら同容量で約10kg。約半分だ。そして充放電サイクル。鉛バッテリーが300〜500回なのに対し、LiFePO4は3,000回以上。10倍持つ。今から組むならLiFePO4一択だと思っている。
チャージコントローラーは電菱 SA-BA20(約5,000円)。私が7年間使って問題なく動いている実績がある。インバーターは電菱 SK350-112(約2万円)。正弦波で定格350W。リモートポート付きで別室からON/OFFできる。自衛隊・警察でも採用されているメーカーの信頼性は折り紙付きだ。
ソーラーパネルは100Wクラスを1〜2枚。折りたたみ式でもリジッドパネルでも、1万円前後で十分な性能のものが買える。
なお12V炊飯器を使うならインバーターは不要。バッテリーから直結で使えるので、インバーターの購入を後回しにして初期コストを下げるという選択もありだ。
ルート② お手軽派 ― ポータブル電源セット
工作なしですぐ使いたい人にはポータブル電源セットがある。私が調べて信頼できると判断した製品を2つ紹介する。
Jackery Solar Generator 1000 New(100Wパネルセット)
容量1,070Wh、リン酸鉄リチウムイオン電池搭載。重量約10.8kg。定格出力1,500Wで電子レンジやコーヒーメーカーにも対応する。100Wソーラーパネルからの充電で約6〜7時間でフル充電(晴天時)。緊急充電モードならACコンセントから約60分でフル充電可能。一人暮らしの防災電源として容量・出力のバランスが良い。パネルセットで約8.5万円〜(2026年2月時点、価格.com最安値参考)。公式サイトのセール時にはさらに安くなることがある。
EcoFlow RIVER 2 Pro
容量768Wh、リン酸鉄リチウムイオン電池搭載。重量約8.25kg。定格出力800W。ACコンセントから約70分でフル充電できるのが最大の特徴で、業界最速クラスの充電速度だ。本体のみで約3.4万円〜(2026年2月時点、価格.com最安値参考)。110Wソーラーパネルとのセットも販売されている。Jackeryより容量は小さいが、軽さとAC充電の速さで選ぶならこちら。
ポータブル電源の詳細な比較記事は別途作成予定。ここでは「信頼できる2製品がある」ということだけ伝えておく。
団地ベランダ7年間の運用で分かったこと
7年間ベランダでソーラーパネルを使い続けて分かった、カタログには載っていない現実の運用ノウハウをまとめる。
ベランダ設置のコツ
方角は南向きがベストだが、東西向きでも実用可能。私のベランダは南向きなので恵まれているが、東向きや西向きでも午前・午後どちらかは日が当たる。発電量は落ちるが、スマホ充電やLED照明程度なら十分だ。
パネルは手すりに立てかけるか、物干し竿に引っ掛ける。固定工事は不要。使わないときは室内にしまえる。垂直に立てかけた状態でも最適角度の80%程度は発電できる。
バッテリー・インバーターは室内に設置。直射日光や高温はバッテリーの寿命を縮める。私は室内の日が当たらない場所にバッテリーボックスを置いている。
配線は窓のすき間から室内に引き込む。窓を完全に閉められなくなるが、隙間テープで対応できる。
SK350-112のリモートポートは便利。ベランダ側にパネルとコントローラー、室内にバッテリーとインバーターという配置で、別室からインバーターをON/OFFできる。これが地味にありがたい。
| 7年間の運用で学んだ注意点: ・強風時は必ずパネルを室内に取り込むこと(落下事故防止) ・バッテリーは深放電を避ける(残量50%以下にしないのが長寿命のコツ) ・ベランダは共用部分。管理規約を確認すること ・折りたたみ式パネルなら「一時的に置いているだけ」で通ることが多い ・インバーターのジー音はファンレスでも多少ある。寝室直近は避ける |
まとめ ― 安いソーラーでも、蓄電さえできればご飯が炊ける
| 【結論】DIYソーラー発電は7年経っても現役だった。
メンテナンスなしで7年:2019年に組んだシステムが2026年の今もバッテリー12.6Vを維持 大事なのは「ポータブル電源か、DIYか」ではなく「停電したとき、自分で電気を作れる手段を持っているかどうか」。太陽がある限り、電気は自分で作れる。 |
私がDIYソーラーを組んだのは2019年。7年前だ。当時は「本当に使い物になるのか?」と半信半疑だった。でも結果として、メンテナンスなしで7年間、バッテリーは満充電を維持し続けている。この事実が全てだと思う。
ポータブル電源でもDIYでも、どちらでもいい。大事なのは「停電したとき、自分で電気を作れる状態にしておく」ことだ。特に一人暮らしの人は、誰かに頼れない状況を想定して備えておくべきだ。
太陽は毎日昇る。パネルとバッテリーさえあれば、電気は自分で作れる。





